晴せい眼がん者しゃ講師こうしが  視覚しかく障害しょうがいの  生徒せいとへ  IT系けい講義こうぎを  する  時ときの  注意ちゅうい事項じこう

「若年層じゃくねんそうに  対たいする  プログラミング教育きょういくの  普及ふきゅう推進すいしん」  事業じぎょう

障害しょうがいの  ある  児童じどう生徒せいとを  対象たいしょうと  した  プログラミング教育きょういく  実施じっしモデル  実証じっしょう事業じぎょう    メンター講こう習しゅう会かい

 

筑つ波くば技術ぎじゅつ大学だいがく  情報じょうほうシステム学がっ科か      小林こばやし  真まこと  

    初はじめて  視覚しかく  障害しょうがいの  生徒せいとさんに  教おしえる  際さいに  注意ちゅうい  すべき  点てんを  挙あげて  みたいと  思おもいます。  実際じっさいには  視覚しかく  障害者しょうがいしゃに  特有とくゆうな  点てんばかりでは  なく、  晴せい眼がん者しゃにも  通つうじる  ポイントが  多おおく  含ふくまれます。  しばし  お付つき合あい  ください。

  

1.とりあえず  ラジオ  講座こうざだと  思おもって  みる。

  晴せい眼がん者しゃへ  何なにかを  教おしえる  場合ばあい、  概念がいねん図ずなどを  描かきながら  「ここは  こう」  「それは  そこに  書かいて  ある」などと  指示語しじご  満まん載さいで  内容ないようを  伝つたえる  ことが  多おおいと  思おもいます。  「ここ、  そこと  いった  指示語しじごを  使つかわない」と  いうのは  視覚しかく  障害しょうがいの  生徒せいとさんに  教おしえる  際さいに  まず  意識いしき  しなくては  いけない  ことですが、  そうは  言いわれても  細こまかい  表現ひょうげんに  気きを  配くばるのは  慣なれないと  難むずかしい  ものです。

  それより  「相手あいてが  目めの  前まえに  いるのでは  なく、  遠方えんぽうに  居いて  音おん声せいだけで  教おしえて  いると  仮定かてい  する」  方ほうが  シンプルで  効果的こうかてきです。  電話でんわで  物事ものごとを  教おしえて  いるような  状況じょうきょうを  想像そうぞう  して  ください。  年代的ねんだいてきに  通つうじない  方かたも  多おおいかと  思おもいますが  「ラジオ  講座こうざ」だと  思おもえば  良よいのです  (NHKの  語学ごがく  講座こうざでも  良よいですね  …)。  ただし、  図ずが  描かかれて  いる  テキストを  共有きょうゆう  して  いる  状態じょうたいでは  なく、  相手あいては  何なにも  持もって  いないと  思おもいましょう。  もちろん  実際じっさいには、  合成ごうせい  音おん声せいで  読よみ上あげられる  コンピュータ内ないの  ファイルや  点てん字じ  資料しりょう、  触しょく図ず  資料しりょうなどを  用意ようい  して  同時どうじに  利用りよう  して  いるので  そんな  ことは  ないのですが、  「基本的きほんてきに  言葉ことばだけで  すべてを  伝つたえると  いう  姿勢しせい」が、  解説かいせつを  丁寧ていねいに  させます。  実際じっさい、  触しょく図ずなどは  全体ぜんたいから  細部さいぶに  至いたるまで  説明せつめいを  しないと、  生徒せいとは  何なにが  描かかれて  いるのか  理解りかい  するのに  苦労くろう  します。  丁寧ていねいに  言葉ことばで  解説かいせつ  する  ことは  重要じゅうようです。

  

2.呼よびかけは  しっかりと。

  生徒せいとさんに  対たいして  何なにか  答こたえて  欲ほしい  ときに  漠然ばくぜんと  質問しつもんを  すると、  「自分じぶんが  対象たいしょうと  なって  いる  ことが  分わからない」  場合ばあいが  あります。  声こえを  しっかりと  生徒せいとさんに  届とどける  ために  顔かおを  向むけ、  「〇〇さんは  どう  思おもう?」などと  誰だれが  対象たいしょうに  なって  いるのかを  本人ほんにんにも  周囲しゅういにも  分わかるように  して  みて  ください。  本人ほんにんが  嫌いやがる  場合ばあいを  別べつと  して、  軽かるく  肩かたに  手てを  触ふれるなどの  動作どうさが  効果的こうかてきな  場合ばあいも  あります。

  

3.生徒せいとの  立場たちばで  説明せつめい  する。

  晴せい眼がん者しゃへの  指導しどうだと  「右みぎの  〇〇が…」と  言いいながら  つい  自分じぶんの  右側みぎがわを  指さす  場合ばあいが  あります。  相手あいてが  「見みえる  生徒せいと」の  場合ばあいは  こちらが  左右さゆうを  間違まちがっても  指さし示しめす  方向ほうこうで  理解りかい  できますが、  視覚しかく  障害しょうがいの  生徒せいとさんの  場合ばあいは、  混乱こんらん  して  しまいます。  左右さゆうの  指示しじを  する  場合ばあいには、  常つねに  生徒せいとの  側がわから  見みる  ことを  忘わすれないように  しましょう。

  また、  場所ばしょの  説明せつめいを  する  際さいには、  絶対的ぜったいてきな  指示しじと  相対的そうたいてきな  指示しじを  うまく  組くみ合あわせて  伝つたえて  みて  ください。  「キーボードの  一番いちばん  左下ひだりしたに  ある  コントロールキー」  「今いま  触ふれて  いる  キーの  2つ  右側みぎがわ」  「今いま  右手みぎての  中指なかゆびで  触ふれた  部分ぶぶん」のような  感かんじです。  その  ためにも、  生徒せいとの  動うごきを  よく  捉とらえて  おく  必要ひつようが  あります。  クロック  ポジションも  適切てきせつに  使つかうと  確実性かくじつせいが  増まします。  相対的そうたいてきな  指示しじで  「ちょっと」  「もっと」も  意外いがいと  有用ゆうようです。  視覚しかく  障害者しょうがいしゃに  対たいして  「ちょっと」は  曖昧あいまいだと  言いわれる  方かたも  いますが、  基点きてんを  しっかり  説明せつめい  しつつ、  コミュニケーションが  とれて  いれば  有用ゆうようだと  思おもいます。  「右手みぎての  今いま  触さわった  カドより  もう  少すこし  右みぎ  …。  (生徒せいとの  反応はんのうを  見みて)  あ、  もう  ちょっと  右みぎ」と  いう  具合ぐあいです。  大事だいじなのは  生徒せいとの  立場たちばに  立たった  臨りん機き  応おう変へんな  コミュニケーションです。

  

4.資料しりょうを  読よむ  時間じかんに  気きを  配くばる。

  墨すみ字じの  読よめる  生徒せいとが  授業じゅぎょうを  受うける  場合ばあい、  講師こうしの  声こえを  聞ききながら  教科書きょうかしょを  読よむ  ことが  できます。  もちろん  視覚しかく  障害しょうがいの  生徒せいとたちも  点てん字じ  資料しりょうや  点てん字じ  ディスプレイを  使つかいながら  講師こうしの  声こえを  聞きく  ことや、  スクリーン  リーダーの  声こえと  同時どうじに  講師こうしの  声こえを  聞きいたり  する  ことも  できなくは  ありませんが、  やはり  両方りょうほうに  集中しゅうちゅう  するのは  難むずかしいでしょう。  しっかり  テキストの  内容ないようを  読よんで  もらいたい  時ときは、  十分じゅうぶんな  時間じかんを  とって  「スクリーン  リーダーの  声こえを  聞きかせる」  「点てん字じを  読よませる」  ことに  時間じかんを  割さいて  あげて  ください。  (本当ほんとうは、  予よ習しゅう  して  もらうのが  一番いちばん  良よいです。)

  この  際さい、  スクリーン  リーダーの  速度そくどは  それぞれ  異ことなる  ことも  理解りかい  して  おいて  ください。

  

5.色いろ々な  読よみ方かたが  ある  ことを  意識いしき  する。

  例たとえば  「char」は  「きゃら」と  読よむ  人ひとと  「ちゃー」と  読よむ  人ひとが  いたり  します。  「*」は  「アスタ(テ)リスク」でしょうか  「スター」でしょうか  「コメ」でしょうか。  文ぶん脈みゃくに  よっては  「かける」と  読よむ  人ひとも  いるでしょう。  「~」や  「~」は  「なみせん」でしょうか  「にょろ」でしょうか  「チルダ」でしょうか  (ちなみに  PC Talkerは  「オーバー  ライン」と  読よみます)。

  このように  記号きごうや  略りゃく号ごうは  人ひとに  よって、  また  文ぶん脈みゃくに  よって  読よみ方かたが  異ことなる  場合ばあいが  あります。  晴せい眼がん者しゃが  目めで  見みながら  耳みみで  聞きく  場合ばあいは、「この  講師こうしは  この  文字もじを  こう  読よむのか」と  理解りかい  できますが、  音おとだけだと  本当ほんとうは  知しって  いる  表現ひょうげんなのに  未知みちの  情報じょうほうと  して  入はいって  きて  しまう  ことが  あります。  複数ふくすうの  読よみ方かたの  可能性かのうせいの  ある  文字もじや  記号きごうは、  共通きょうつう  理解りかいが  得えられるように  丁寧ていねいに  解説かいせつ  して  あげて  ください。

  混乱こんらん  しやすい  ものの  例れいと  して  「’」  「”」が  あります。  今いまの  PC Talkerは  シングル  コーテーションを  「シングル」、  ダブル  コーテーションを  「コーテーション」と  読よんだり  します。  同おなじ  ものを  説明せつめい  して  いる  つもりでも、  読よみ方かたが  異ことなると  違ちがう  ものと  して  認識にんしき  されて  しまうかも  しれません。  もちろん、  無理むりに  自分じぶんの  読よみ方かたを  変かえる  必要ひつようは  ありません。  ただ  その  ことを  意識いしき  して  いると、  記号きごうが  出でて  くる  箇所かしょの  説明せつめいが  丁寧ていねいに  なります。

  

6.専門せんもん  用語ようごに  注意ちゅうい  する。

  個人的こじんてきには、  専門せんもん  用語ようごは  無理むりに  避さけずに  使つかうように  した  方ほうが  良よいと  思おもって  います。  IT分野ぶんやで  普通ふつうに  会話かいわに  出でて  くる  単語たんごや、  記事きじに  書かかれて  いる  単語たんごは  知識ちしきと  して  生徒せいとたちに  与あたえた  方ほうが  良よいと  考かんがえて  いるからです。  しかし、  彼かれらが  初はじめて  遭遇そうぐう  すると  思おもわれる  単語たんごに  ついては、  最初さいしょに  口くちに  出だした  際さいに、  きちんと  使つかい方かたや  意味いみを  教おしえる  方ほうが  良よいでしょう。  通常つうじょうの  話はなしの  中なかで  出でて  くる  ときに  説明せつめい  して  構かまいません。  その  方ほうが、  実際じっさいの  使つかい方かたも  一緒いっしょに  学まなべます。

  表記ひょうきは  カタカナなのか  漢字かんじなのか、  英語えいごの  記述きじゅつなのかと  いった  情報じょうほうも  有用ゆうようです。  「マージ  する」  「デフォルト」  「ストア」など、  普ふ段だん  何気なにげなく  使つかって  いる  言葉ことばを  いま  いちど  見直みなおして  みて  ください。

  

7.最初さいしょに  全体ぜんたいを  俯瞰ふかん  した  情報じょうほうを  与あたえる。

  例たとえば  開ひらいた  テキスト  ファイルが  どれくらいの  文字数もじすうで  あるとか、  ワードが  何なんページくらい  あるのか、  と  いう  情報じょうほうは  見みえて  いれば  スクロールバーの  長ながさなどで  だいたい  予想よそうが  ついたり  しますが、  音おん声せいの  場合ばあいは  事前じぜんに  サイズなどを  チェック  しない  かぎり  分わかりません。  そこで  最初さいしょに  全体ぜんたいの  分ぶん量りょうや  予定よていを  伝つたえて  おくと  良よいでしょう。  全体ぜんたいを  俯瞰ふかん  して  大おおまかな  構成こうせいや  量りょうを  説明せつめい  した  後あと、  最初さいしょの  構成こうせい  部分ぶぶんの  概要がいようや  量りょうを  伝つたえ、  説明せつめい  して  いき、  次つぎの  構成こうせい  部分ぶぶんに  移うつったら  その  概要がいようや  量りょうを  伝つたえてから  説明せつめい  する、  と  いう  感かんじです。

  テキスト  ファイルを  作つくる  際さいにも、  それらに  留意りゅうい  すると  良よいでしょう。  例たとえば  私わたしたちは  試し験けん  問題もんだいを  電子でんし  ファイルで  作つくる  際さい、  「この  テストは  大だい問もんが  いくつ  あって  それぞれの  小しょう問もんが  いくつ  あるか」  「何なにに  ついての  問題もんだいか」と  いった  ことを  ファイルの  最初さいしょに  書かくように  して  います。  HTML  ページなどでも、  概要がいようを  最初さいしょに  書かいて、  見出みいだし  ジャンプを  する  ことで  効率こうりつ  よく  情報じょうほうを  取得しゅとく  できるように  書かく  スタイルが  理想的りそうてきです。

  以上いじょう、  晴せい眼がん者しゃ講師こうしが  視覚しかく障害しょうがいの  生徒せいとへ  IT系けい講義こうぎを  する  時ときの  注意ちゅうい事項じこうを  7点てん  挙あげて  みました。  繰くり返かえしに  なりますが、  生徒せいとの  立場たちばを  想像そうぞう  して、  言葉ことばで  積極的せっきょくてきに  コミュニケーションを  とる  ことが  一番いちばん  大事だいじだと  考かんがえて  います。  生徒せいとさんたちに  楽たのしい  時間じかんを  過すごして  もらい、  IT分野ぶんやに  興味きょうみを  持もって  もらえる  ことを  願ねがって  います。