社会のIT化が進む中、視覚障害者にとってもITのスキルは、単に読み書きのツールや学習のためだけでなく、就労を始めとした社会進出の上でも益々重要になっています。

 また、プログラミングの能力を必要とする分野は視覚障害者にとっても、一般の晴眼者と共に働くことが可能な分野の一つとして有力視されています。

 この「プログラミング教育」は、ご存じのように、将来の人材育成の重要な柱の一つとして重要視されていて、それは単に「IT技術者の育成」などだけでなく、小中学校や高校などの若年層からのプログラミングの考え方の教育が重要視されています。

 一方で、児童生徒など若年層におけるプログラミング教育については、よくあるパソコン画面でのブロック・プログラミングなどのグラフィカルな教材は視覚障害者には使えませんし、プログラムでロボットを動かしても、視覚障害がある生徒達はロボットの動きを目で確認することが出来ないため、達成感が得られません。そのため視覚障害がある児童生徒達を対象としてプログラミング教育を行うためには、特別の工夫が必要になります。

 科学へジャンプ全国ネットワークでは全国から視覚障害がある中学・高校生の参加者を募り、3泊4日の合宿型キャンプを隔年で開催していて、今年は第7回目を8月に開催しました(参加生徒 20名)。

 一方、全国を8ブロックに分けて、毎年各地域で日帰りの地域版キャンプを実施しています。これらのキャンプでは、視覚に障害がある生徒達のための配慮・工夫をした、理科実験や、 もの作り体験、数学ワークショップ、ITワークショップなどを、原則1コマ90分の ワークショップの形で、数多く実施しています(詳しくは、ホームページ http://www.jump2science.org/activity を参照)。

 これらのワークショップの中には、「プログラミング教育」としてふさわしいものがいくつかあり、中には生徒達の人気が非常に高いものもあります。

 科学へジャンプ全国ネットワークでは、今回の 総務省プロジェクト において、そうしたワークショップの中から5つのテーマを選び、それぞれのワークショップについて、指導者研修(メンター講習会)、中学生・高校生を対象とした実証講座を実施しました。

    1. メンター講習会(2回)
       ワークショップのテーマ毎に指導者(メンター)を募り、視覚障害の生徒達を対象として実施するための研修会を実施しました。

      • 1回目(H29.11.19)
      • 2回目(H29.12.9)

      (詳しくは「メンター講習会」のページをご覧ください。)

    2. 実証講座(2回)
      • プログラミングの考え方に親しむための講座(H29.12.17)
      • やさしいプログラミング体験(H30.1.7)

      (詳しくは「ワークショップ」のページをご覧ください。)

    3. 教材化
       企画者本人だけでなく、より多くの教育関係者が実施できるように、ワークショップのねらい、必要な準備・資料、実施手順などを記載した実施要領を整備し、「教材化」して公開します。